六車正史弐段、78歳現役。 2020/10/27

mugu-IMG_8894mugu-IMG_8841

 

 

 

mugu-IMG_8820mugu-IMG_8865

 

 

 

MU-IMG_9529

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2020年10月27日

極真空手に出会って

極真会館香川支部 相談役 六車 正史 弐段

今から書くことは2008年3月の「空手との出会い」と重複する箇所があります。もっとも12年以上前に一緒に汗を流された方は少なくなっていると思われますが、定年が間近になり勤務先が徳島から高松になり、退職後何をしたらの思いが日々強くなって来ました。外回りを終えて会社に帰る途中、当時上福岡にあった極真会館香川支部の看板が目に入りました。えっ、こんな所で空手をやっている、此処なら仕事帰りに稽古が出来るそんな思いがよぎりました。極真会館は1963年に設立されました。その年の前後ぐらいに大学で空手をやっていたのですが、極真について良い噂は余り聞きませんでした。いま思えば出る杭は打たれる、台頭する新しい流れに対する既存団体からのパッシングだったと思います。今から20年前のゴールデンウィーク、何処にも行かず家でゴロゴロしながら「また空手やりたいな」と家内にそれとなく呟くと「それでなくても帰りが遅いのにこれ以上遅くなるのはかなわない」そんな感じがありありで黙して語らずでした。勤め先は香西、家は白鳥、車での通勤はゆうに1時間以上掛かっていました。傍にいた娘の「やりたければやれば」その一言に後を押されました。

2000年5月13日、意を決して薄暗い狭い階段を上り道場に入りました。基本稽古が始まったばかりだったと思います。指導されていたN師範代が心よく応対してくれ入会したい旨、伝えたところえっという感じでした。「来る場所が間違っているのと違うか、おっさん」そんな感じで無遠慮にじろじろ見る若い極真戦士が何人かいました。あらためて入会の意思を確認され用意された道着に袖を通しました。何とも言えない高揚感がありました。最後尾での移動稽古が進むにつれ30人程の道場生の自分を見る目が少し変わって来ました。道場訓を唱和し静寂の中での黙想、いつかは前列の右端に座りたいそんな思いが湧いていました。この日ははからずも58歳になる誕生日でした。

稽古体系は学生の時と殆ど同じでした。思えば大山総裁も松濤館、剛柔流をやっていたのですから当然と言えば当然ですね。秋の昇級審査でいきなり五級になりこれには正直自分もびっくりしました。昇級の代償といっては何ですが卒業後、仕事に追われこの歳まで運動らしい運動をやってなかった身体は歩くのがままならない状態になっていました。リハビリに通っている整形外科からは第四第五腰椎の椎間板狭窄症による痛みです。これ以上我慢が出来なければ手術しか無いですねと言われ、手術すれば治りますかの問いにやってみないと分からないとの返事でした。そんなおり岩田師範がその年の暮、良ければ福山で整体をやっている河村一典先生(故人)の施術を受けて見ますかの誘いに藁にも縋る思いでお願いしました。結局翌年の三月末まで毎週日曜日白鳥から福山まで足を引きずり電車で通うことになりました。 河村整体へは師範が案内してくれました。行き帰りの車の中でいろいろ空手の話を伺うなか、教職をなげうって空手に生涯を託されたのには正直驚きました。この福山行きがなければ多分今の自分はなかったと思います。第二の人生を間近に控えた私にとって本当にかけがえのない人に出会うことが出来ました。この歳になる迄、師範のような「人となり」を持ち合わせている方はあまりいません。2003年9月に初段、2005年12月に2段になり地元の白鳥道場で中塚師範のもと指導のお手伝いと稽古を続けて来ました。二人の良き師に恵まれ感謝しております。いつか私が指導出来るようになり空手を通して地域との繋がりが出来れば良いそんな夢も現実味を帯びて来ました。殆ど地元で稽古をするようになって香川支部から香川分支部白鳥道場に移籍させてもらいました。これは自分自身の気持ちの整理でもありました。2016年9月から白鳥道場は香川分支部(中塚師範)から香川支部(岩田師範)に移りました。道場生は私を入れて7人になっていました。2018年8月から白鳥中学校建て替えの解体工事が始まり教育委員会からは大川中学校の武道場を使わせて貰えることになり、この設備の整った武道場で稽古が出来れば道場生も増えるかも、そんな期待もむなしく2019年10月には吉本さん田山親子(3にん)、自分の5人だけになりました。全員揃う稽古も稀になり、追い打ちをかけるように2020年4月中旬から5月末までコロナで稽古が出来ず自分のモチベーションも落ちて来ました。歳だとか、身体が動かないとか 自分に対する言い訳ですね。そして今が潮時そんな理由を勝手に付けて2020年7月16日の稽古で「自分の思うような稽古が出来なくなったので申し訳ないですが9月いっぱいで道場を閉めたいのですが」と伝えた時の田山親子3人の驚いた眼差しが忘れられません。吉本さんには先立ってその旨伝えていました。そして道場生が一人になってもやるとの思いを自分自身で壊した瞬間でもありました。

2020年9月24日、最後の稽古に参加して頂いた岩田師範、川田師範代、平尾さん、十河さん、坂西さん杉浦君、皆さんのお陰でいつもと違う緊張感のある稽古が出来ました。そして吉本さん、田山さん、絢都(ひろと)君、英奈(ひな)ちゃん、最後の最後までお付き合い頂き本当にありがとうございました。絢都君の「まだやりたかった」の言葉は胸にせまり返す言葉がありませんでした。道場の幕引きした本人がこんなことを云うのは変ですが長い人生、やる気があればまた空手が出来る日はかならず来ます。

極真空手に出会って20年余り、ここまで続けられたのは師範はじめ一緒に汗を流した数多くの道場生のお蔭だと思っています。何か脈絡のない事を書いてしまいました。この歳になると何を言いたいのか、なにを書きたいのか、さっぱり分からなくなり今更ながら老害を実感しております。

最後に香川・岡山西支部の益々の発展と活躍を祈念します。尚、白鳥道場はなくなりましたが私は香川支部を退会した訳ではないので今迄通りよろしくお付き合い願います。